あなたの名をいくらでも叫んであげたい、そしてこの先の世界をつくろう――ライブツアー『SINGING!』について


MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2023 〜SINGING!〜に参加した。本稿ではこのライブツアー(以下、S!)について書いていく。

まず、未だつづくこの状況下で、表舞台に立つ9名の誰も欠けることなく完走したことを祝いたい。そして、「マモライが帰ってきた」と、歓声の有無を含めて改めて噛みしめている。あふれるほどの愛を受け取ったいま、幸福に満たされている。

宮野真守さんのアーティスト活動15周年の節目に開催された本ツアーだが、コロナ前後に起きた変化や「いま」の宮野さんのモードをよくよく示したものだったと感じる。

久々にブログを書くのでどたばたとした文章だが、ご容赦頂きたい。以下続く。

セットリストの秀逸さと、それをつくれるひとであること

例えば私が宮野真守さんのライブの魅力は何か、と誰かに問われたとして、ごくピュアに答えるとすれば「テーマ性/物語性のあるセットリスト」だと口にする。何よりもまずこれをもって「マモライ」であると思っていた節が個人的にあり、S!こそがコロナ禍を越えての「マモライの復活」であるとまで思ったのはこの点による。

テーマ性/物語性のあるセットリストはまず参加していて気持ちいい。単発的な要素だけではない流れに乗り、浸ることが出来るからだ。加えてこの気持ちよさを加速させるのが、宮野真守というひとがすぐれた俳優・声優であるそのこと。彼はその職能・才覚を以て各曲にのめり込みその特徴を膨らませてパフォーマンスしていく。これによって聴衆は、無自覚にも流れに乗るないし巻き込まれていくことが出来る。そんなパワーや説得力が宮野さんの歌声やライブパフォーマンスには抜きん出てあるし、きちんと緊張と解放を考慮したセットリストの組み方や演出をしてくるという点から、このチームはかなりその背を押す座組なのだとこれまで感じてきた。
ただ、コロナ以降は個人的にその面だけで言えば満足仕切れておらずだったのは正直なところだ。

※伝え方が難しいが、ライブの出来なかった期間の未披露曲を“消化”する必要や費用面の兼ね合いも0ではない気はする、今回もそれが全くないわけではないが。 ※ガタガタ言っているが、宮野さんが「声を出せなかったあの時も楽しかったね」と言っていたようにそう、ちゃんとそれでも楽しかったし幸せだったのはもちろん確か。

それが今回のセットリストは、音楽的な流れはもちろん意味合いのまとまりも、4年ぶりの声出し解禁を喜ぶべくの客席の歌声を促し参加させる要素・引力も、15周年だからこその「これ、歌ってくれるんだ!」という数年来応援してきたファンとしては嬉しい曲選も、様々なポイントが網羅的にカバーされており大変秀逸だった。

こうしてまとまりと流れを作りながら、「ふさわしいことば」を備えた曲がここまでの15年の道中にあって、また歌われるべき時を待っていて、それをちゃんと宮野さんも覚えていて、しかるべきところで大事に歌ってくれる。

昔はこれを運命的だなぁ、なんて思っていたのだが、コロナ禍を経た今、宮野さんが自らの意志や行動、愛でそうしてきたのだろうなと思うようになった。
RELIVING!の時に「もう僕ら家族っていうか友達」と宮野さんが何度か口にしたことをよく覚えている。友達って、血縁のような切りえない、ある種その場に居合わせたことによる結びつきではなく、自らの意志で共にあることを選び縁を繋ぎ合う存在ってことだ。

今回のS!千秋楽では客席のペンライトを指して「光の似合う自分でありたい」と言っていた。困難を乗り越えようとしたとき、きっと光のひとつひとつを痛い程に思い出してくれていたのだと思う。それらのひとつひとつの呼び声を聞き、愛を告げていま、なりたい自分になろうとして獲得した度量と意志でもって共に立ち上がり、未来へ行こう!と言ってくれているのだ。そんな、愛と意志を持って進める人だからこんなライブがつくれるのだ。

そのまとまりに込められたもの

意味合いがまとまりがなんだかんだとさっきから言っているが、今回はSing a song togetherのremixや映像などを境目に以下のようなテーマ性でパートが分かれていたように思えた。整理してみたい。

OP

【①共に歌い共有するいまこの世界をみつめる】

  • 01.Sing a song together
  • 02.日替わり
    • BREAK IT!(1日目)
    • SHOUT!(2日目)
  • 03.THE ENTERTAINMENT (HIRO REMIX)

〜Sing a song together Emotional House mix〜

【②切り開き、手に入れようとする貪欲さを肯定しあう】

  • 04. FANTASISTA 2023
  • 05.行こう!
  • 06.Greed

〜Theme of SINGING!〜

【③永遠の分かち合い】

  • 07.Invincible Love
  • 08. ぼくのキセキ
  • 09.EVERLASTING

幕間『ノンフィクショニング』

【④世界を獲得するまでの抑圧と爆発と決意】

  • 10.愛の詩〜Ulyssesの宴〜
  • 11. Dirty Orange 2023 REMIX
  • FIRE
  • Now and Forever
  • Butterfly
  • Space Travellers
  • EGOISTIC
  • 12.会場替わり曲
    • 蒼ノ翼(大阪)
    • ジャーニー(仙台)
    • テンペスト(広島)
    • カノン(東京)
  • 13.Quiet explosion

【⑤帰還と再会、歩み出す】

  • 〜Sing a song together Disco mix〜
  • 14.Kiss×Kiss
  • 15.TEAM
  • EN16.透明
  • EN17. EXCITING!

  • WEN18.J☆S

①共に歌い共有するいまこの世界をみつめる

ツアー期間中、『人間はなぜ歌うのか? 人類の進化における「うた」の起源』という本を読んでいた。おおまかに歌はモノフォニー(独唱)からではなくポリフォニー(二声以上での合唱)からはじまった、なぜなら社会を同定し、外敵を払い困難に向かうためのトランスに至らせる必要があったから、という話なのだが、まさにこの「SINGING!」は「一緒に歌う」ことで困難を乗り越えて自分たちの世界を取り戻していく営みであったのだと思う。

だからこそライブの表題曲であるSing a Song togetherの後はBREAK IT!(君が君の世界を作り出してく)やSHOUT!(轟かす世界へ僕とキミの声を/なりたい自分が見える)という抗いながら世界をつくる曲が続いたし、そんな世界に漕ぎだしていくTHE ENTERTAINMENTがあった。

②切り開き、手に入れようとする貪欲さを肯定しあう

前パートで確認した世界を取り戻すことを、抑圧されたままではいられないというある種の強欲さを肯定して推進する、という役割がこのパートの曲たちにはあった。

これって結構仲間内っぽい必要があって。正直今回個人的に全然地方公演のチケットが当たらなくて(東京は一般販売や当日券もあったが)、「ゴールデン人気バラエティレギュラーのあるいまここでもっと一般にチケット取れる機会つくらないでどうするのか!?!?!?」みたいなことをぐるぐる思っていたが、小規模なツアーでFC会員が客席のほとんどを占めるくらいのところをまず巡っていく必要がだからあったのだなと今になって思う(「売り切る」大事さももちろんあるが……)。LOVING!のころのことを思い出した。

③永遠の分かち合い

欲や反骨心や想いを共有した存在との一蓮托生を確認する、永遠を分かち合う、という行為もその関係を強固にすべく必要なことで。それを担ったのがこのパートだった。また、それを分かち合う距離にいまいる程のいとし子である、ということを伝えることでもあっただろうか。3曲いずれも「そばにいる/いてきた」ということをひたすらに伝える曲だし、 invincible loveはあなたへの無敵の愛でもあるけど、困難を乗り越えるわたしたちの無敵の愛を確かめる歌でもある。

④世界を獲得するまでの抑圧と爆発と決意

このパートは地下に潜むようにしてふつふつと湧き上がるもの、を伝えるような曲が並んでいた。ここは、革命とか蜂起とかそのための帰還を企てる、みたいなイメージがある。冒頭の衣装が王子みたいな感じだったからかもしれませんが……急にガバガバ設定みたいなこと書いちゃった。「行く」ことを駆り立てる役割だったと思う。

⑤帰還と再会、新たに歩み出す

ここまでさまざまを経てきて、冒頭のSing a song togetherを改めてコーレスする。ここまでのコミュケーション、困難にあたり抱いていた感情を共有しあったからこその伏線回収的な気持ちよさ、前の開ける感を与える。

10周年あたりは「自らの声で周囲の世界を切り拓いてきた」という宮野さん自身の声への信頼感、矜持とも言えるところに注目しがちだったのだが、コロナ禍を経て「皆の声が光となり見えてくるこの先の世界を一緒に切り拓く」といったように世界の捉え方も変わったように思う。聴衆の歌声や歓声、「マモ」と呼ぶ声によって暗闇ないしモノクロの世界に光が差し込み、色がつくという表現は一貫して顕著になされるようになっていて、例えば久々の有観客ライブとなったRELIVING!のロゴは東の空(右上)から差し込んだ光で、反転していたM(宮野さんを表すといっていいでしょう)が、正位置になり、色がつくさまを表している。

本ツアーのオープニングもその流れに沿うもので、ツアーの表題曲とも言えるSing a song togetherの、特に聴衆とともにコーラスする部分をレコードに掛けることが起点となり、そこから宮野さんが触れていくことによってモノクロの世界に色がついていくという映像だった。暗闇から地上の星々の声に呼ばれて帰ってきた、ひとつひとつに触れて、想いを共有して存在を肯定しあうことで、色を取り戻していく。これらを段階としてしっかり踏んでこそ、いまあのステージに帰ってきたのだ。 OPで表されていたそれをここまでのセットリストで丁寧になぞり、そしてここにたどり着いたという開放感は本当に喜ばしくて格別で、本当にファンとして想いを賭ける場としても、生でその場で味わうステージとしても、素晴らしい構成だった。ほんとうに宮野さんはさみしがりで、でもそんなに欲しがるものを全部受け止めてさらには相手に有り余るほど返し与えられるだけの愛、肯定する力があるひとなのだなぁ。

言いたいことを曲ごとに

長々語ってきたが、ここからは上記に含めて言えないことをピックアップして書いていく。脳直。

  • Sing a song together

ティファニーブルーの王子様衣裳で出てきたの、流石にあまりにもきらきらしくて泣いた。でも舞台に上がる前にに愛でていたのは豪奢な薔薇やカサブランカではなくてシンプルなピンクのガーベラなのだ……宮野さんの一番好きな花、ガーベラって言ってた気がするんだけど気のせいかもしれない。ともかくそこまでの映像でも泣いてたのに別の意味(「好き~~~」という混乱)で泣いた。エクステで長さかえたり色付けたり、もっとやってほしいなぁ。昔は金メッシュとか結構地毛でやってたけど、ドラマ撮影とかまたやっているのだろうか?G!のオオカミ衣裳のエクステも好きだったなぁ。左前髪あたりに衣裳とお揃いで水色付けてたのもすきだった~

  • THE ENTERTAINMENT (HIRO REMIX)

気持ちのよさ、目の前が拓けたよろこびによる軽やかさ、というところにフォーカスしたリミックスで大変気持ちよかった。Bメロ入るところのビートとか特に!原曲はキャプテンのどっしりゆったり感があって白波のきらめきを味わう感じだったが、これは海風や目の前が明けたことの高揚感に身体を揺らすって感じ。

  • FANTASISTA 2023

FANTASISTAやってほしいけどやると思ってなかったから度肝抜かれた、そういえばコーラスできる曲だったわ。しかもremix、誰が作ったんだ!?KREVA御大なのだろうか……今後明かされればいいな。リフとピアノで刻んでいくの、オシャレだし生っぽくて原曲より大人な印象になって、数年越しの「2023」こそでよかった。

あと掛けてきたサングラスをその後観客に投げ込むのスターすぎた。治安悪めの柄シャツもSUKI。ああいうのに似合うのイエベ秋のゴージャスさって感じがする。全然パーソナルカラーわかりませんが……

ダンサーたちと揃ってアイソレーションしてるシーンとか、あと宮野さん自身の歌っていての気持ちよさ、楽しさ、みたいなのが伝わってくるアレンジとかしていてよかった。bのところかとかいいよねぇ。

この声出しが出来なかった期間、困難と同時に明らかに宮野真守はキャリアを積み重ね活躍の場やポジション、ステージを広げている。それを不安ではないが変わったな、と思うところもあるかもしれなくて、でも前から持ってるスタンスとしての「僕はオレで自分でわたし」の提示、「君のためなら」「(あなたがいるから)この先怖くない」の強調。何にだってなってやる、必ずまた変わってやる。こんな曲が前からちゃんとあるんだからすごいよなぁ。

  • 行こう!

ずっと踊りながらボケてて、淋しい熱帯魚とかナンダカンダして終盤でダンサーたちと目をあわせて笑わせているのがある種期待通りでよかった。そういう面も込みでつくってもらった曲だと思うので。

  • Greed

上記で書いたようなあの世界を取り戻したい、みたいなのってグリリン(ハガレン)じゃない!?と思っている所でこれが来たので個人的に確信になった。あとのEVERLASTINGとあわせて、このときは黄色いペンライトをつけていたよ。

  • Invincible Love

「すべて賭けるくらいなら、いつだってしてあげるから」というフレーズのことをずっと考えて、参加するたびに毎回涙していた。そうやって目の前に立つあなたが「名前をたくさん呼んでくれてありがとう」としきりに言ってくれていたけれど、そんなのいつだっていくらだってしてあげたい。

代わりなんていない、の歌声も、地上の星々をひとかたまりにするのではなく、それぞれをいつくしんでくれるようで。すべてを丁寧に受け止める力、みたいなものを思った。

ここでバンド紹介のMCがあったのだが、東京1日目、だーまえが「大きな会場で宮野さんの背中を見ているのが嬉しい」みたいな話をしていて。AMAZING!の冒頭Magicのライブ映像で光に向かって踏み出し歌い始めるシーンが本当のほんとうに好きな自分としては首がもげるほど頷きながら泣いた。かつ、だーまえはそれを確かコメンタリーか何かで以前にも触れていたのでそういうところも好き過ぎる。プレイもかっこいいのになんなんだ。宮野さんに促されて「だーまえかっこいい~」「好き~」と会場中から言われて照れてるとこも好きだ、だーまえ。

それからここからのバラードコーナー衣装が黒のゆったりめのセットアップで大きめのネックレスしてて、靴裏だけ赤の入った黒い革ヒールブーツで、歴代の衣装の中でもかなり好きだった。エクステで髪長い感じになってたのもいい。初見で出てきた時カッコ良すぎて腰砕けた。スタイルとか髪とか多分今の自分の年齢と同じ頃の宮野さんが想起される要素が多かったせいもあって、なんか変にリアリティを覚えてしまってめちゃめちゃドリだった。このコーナー泣いたり下心湧いたり忙しい。

  • ぼくのキセキ

いつも「いや、次のライブではぼくのキセキやるでしょ」とか冗談で言っていたのが本当にやられて悲鳴をあげてしまった。いつも一緒にいること、そしてこれからも一緒であること。15年の月日を過ごしてきて「いつもの君」を知ってくれている存在であるということ。それを肯定していとしごとして認めてくれること。うわ〜ん。「へたくそなステップで君を笑わせるから」の所でくるりと回る楽しげなさまが手を取って連れ出してくれるようで嬉しかった。

コーレスというかみんなで歌う、ということがあったのだが(AMAZING!を思い出すね!!!)、単純にみなでうたう楽しさ(ハモリもあってよかった)聴衆の歌声に「うつくしいね」と言ってうっそり微笑むさまに泣いた。

  • 幕間『ノンフィクショニング』

途中までは真面目にノンフィクションなのかなとか思っていたのだが、しゅんりーにキレる雅の尻と「ナーバスになってますね……」あたりでこれコントなんだ……となった。しゅんりーは本当にいい受け演技が出来る俳優だよね。宮野さん、無印みたいな大分シンプルな黒リュックしょってるんだな……
てか仙台1日目にしゅんりー見に来ていて、アンコールMC中の宮野さんと関係者席で客席越しに喋ってたのだが(それもかわいい)、多分あれくらいの近さでお姿を見るの初めてで、シルエットで爆イケだったので色めいてしまった。あと2日目は伊福部さんが来てて、コントではないと主張しながら結論コントになってて良かった。

また全然関係ないけど福士蒼汰さんはおしゃべりしているときの声に倍音が綺麗になっていてうっとりしてしまうな……とぼやぼや聞いていると内容としては謎にファンにマウンティングしてきていてお祝いコメントなのか疑問な話でウケた。てか山里亮太/福士蒼汰/星野源にコメント貰うの、スター過ぎでは?

ICHIGO〜甘くてchu♡ぱいぜ〜は名曲過ぎる。OPのSing a song togetherのアレンジもビックバンドっぽくて楽しかったけど、これもその路線でよかった。もっと増えろ~。コミックソングでありながら宮野さんの声が気持ちよく聞こえやすくて本人も気持ちよく歌えるあたりの音を的確に抑えるのが天才的で結構感動していた。配信してくれないだろうか。

あとあのいちごの人は誰なのか?雅は宮野さんと同一人物なのか?の議論を見かけましたが、すくなくともイチゴの人は宮野さんということで宜しいかと思います。

  • 愛の詩〜Ulyssesの宴〜

前回のEN!で「なぜエンターテインメントを冠するのにUlyssesがないのか」と強く思っていたのだが、ここでやるためだったんだな。声をあわせて人生を、ショーを称えるなんてすごい曲だ。あのふざけたイチゴ衣裳から最初のドラムが始まって崩れ落ちたし速着替えにもほどがある。G!のトランスフォームとかL!のスぺトラとか、ビビらせるのがうまいな本当に。

dance tonight!のところのコーレスからのフェイク、毎回腰砕けになるか良すぎてガッツポーズしたくなるのに、それだとその後の管が流れ込んでドラム変わって気持ちいいところに乗れないので過剰に受け止めてしまうタイプには辛い。

  • Dirty Orange 2023 REMIX

Now and Forever~Butterfly~Space Travellersの流れめっちゃよかったな~

  • EGOISTIC

近年、リミックスに毎回トロピカルハウス的なアレンジが入って来てて楽しくて好き!

  • 会場替わり曲

ここで東京にカノンが入っていたのがよかった。地上の星、とわたしたちを指し示してくれるのだ。

  • Quiet explosion

これまであんまり?見たことない、「佇んで静かに抑圧しながら、激しい歌声を見せる」という表現がよかった。1か所で動かずに、ポケットに手を突っ込んでステージのふちで立っていて、視線や表情もかなり鋭く怒りに満ちたような顔をしているのを、わたしも防振でじっと見つめて聞いていた。千秋楽はかなり動いてみせていたけど、そのままの方が好きだった。

「アップデートされた世界でいつか君と現実を見る」というそのいつかに、sing a song togetherがあるのだ。

  • TEAM

チームである存在そのものをみとめて感謝してくれていること、はじめて一緒に歌えて、よかったなぁ。

  • 透明

ほんとうにほんとうに美しい曲で、名を呼ぶ声に応えてこの曲を返してくれるのが嬉しい。べディヴィエールも、ずっとその微笑みがみたくて長い旅路を越えてきたのだよな。千秋楽MCで「次はマスクなしの笑顔がみたいな、マスク外し会(!?)しよう笑」みたいな話をしていたが、案外ニュアンスは違わないのかもしれない……

  • EXCITING!

一緒に乗り越えてきたよ、だから、この先もいつだって乗り越えて行こう。

  • J☆S

千秋楽、最後のかき回しをちゃんと締めないで帰ろうとするというのに宮野さんがハマっていたのだが(なんだそれ?)帰ろうとすると毎回ちゃんとマー坊さんがドラムで叱っていてよかった。マー坊さん、慶くんさん系統の求心力アリながらオールラウンダー寄りで、そういう細かに効果音で遊んでることが多くて楽しかった!初アリーナおめでとう。「みんな」の観点が強くて場の掌握力があるなぁ。今後もぜひ聞きたいドラムだった。

おわりに

以上、本ツアーの感想を書いてきた。

ここまで長く宮野さんのことをまとめて書いたのは久々なのだが、じつは10周年のEX!以降、思うことをいろいろとメモはしつつ形には出来ずにいた。あのときは私生活がかなり厳しくて、前に進み続ける宮野さんとそれを称える姿に、なんというか「そんなに頑張れない」と思っていた。大事に丁寧に絞り出したその言葉に励まされることが、背中を押そうとする手の力を借りることが出来なかった。

だけど、今回のS!は、まずここにいることを必要としてくれる、肯定してくれる説得力があった。ホールは本当に距離が近かったからか、宮野さんはしきりにわたしたちのこと、その歌声や名前を呼ぶ声を「かわいいね」「きれいだね」「うつくしいね」と口にしていて、みんなまさに愛す可しだと肯定するそれがボコボコの自尊心を撫でてくれたので毎回泣いていた。

ありあまるほどの愛をずっと手向けてくれること、みんなを肯定するだけの宮野さんの度量の広がり、みたいなものを体感して本当に幸せなライブツアーだった。 15周年はまだまだ続く、と言うことなので、オケコンではDiscovery絶対聞きたい。あとシャインとBeatutiful Nightと白昼夢と逆さま地球とスぺトラとRain聞きたい。ほかもたくさん聞きたい。知らないものをきかせて、見せてほしい。

あなたとわたしの声でこの世界をつくっていこう。何度だって名前を呼ぶ。 そして見たことない広い場所まで行こうね。

(了)

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